不敬小泉

週刊ポスト2006年2月17日号
小泉首相の「宮中不敬事件」
小泉は、自分の考えに反する意見や出来事に接すると、反射的に身を固め、
周囲が止めれば止めるほど意固地になる悪癖がある。
今回も世論に押されて「慎重に議論する」とは言っているもののなかなか自説を撤回せず、
いまだに改正法案の提出にこだわっている (森派幹部)
ご懐妊発表の前から党内は逆風だらけだった。
天皇制の根幹に関わる問題を、他の省庁改革などと一緒にしてはいけない。
今国会で典範を改正して、その直後に親王ご誕生となったらどうするのか、
小泉政権は全国民から袋だたきにあってしまう (細田博之国対委員長)
「非常に反対論が大きくなっている」という言い方で法案提出を牽制 (伊吹文明・元労相)
「皇室典範は憲法と対比される基本法だ」と改正反対を表明。
超党派の国会議員による「日本会議国会議員懇談会」は改正反対の署名を衆参両院で170余名分集め、
森派の下村博文・事務局長が、党執行部に「改正案を提出してはならない」と申し入れた。
2004年の元日の話
元旦に靖国参拝をする1時間ほど前の皇居での「新年祝賀の儀」の際、
出迎えた宮内庁の職員たちは小泉さんのいでたちを見て絶句した。
靖国神社に参拝したときと全く同じ羽織袴。
宮中のドレスコードでは燕尾服でなければならない。
幹部もハッキリと言った「羽織袴は武士の正装です。宮中では昔から使われておりません」
小泉さん「そんなことばかり言っているなら、宮内庁も改革しなければダメだな」と、吐き捨てた。
小泉首相サイドからは「反対しているのは抵抗勢力ばかり。これは皇室問題を隠れ蓑にした倒閣運動だ」
との不穏当な発言も。
しかし、首相周辺が意地になればなるほど形勢は不利に。
反対派は「小泉首相は皇室に対して不敬である」と
2月3日の小泉発言(皇室の意見は聞かないのか?の質問に対して)
「有識者会議で聞いておられると思う。直接ではなくても、賛成、反対を踏まえての結論だ」
つまり有識者会議がまとめた女性、女系天皇を認める改正案は「皇室の賛成」で作られたと語った。
小泉側近議員や官邸幹部からも、相次いで同様の発言。
ある官邸幹部「総理は2年前には典範は改正しないと判断をした。
しかし、皇太子ご一家の問題が起き、皇室内部の東宮サイドや雅子妃親族から
”雅子妃が楽になれるような仕組みを”というメッセージが発せられた。だから改正に動き出した」 と言ってのけた。
それに対しある総理経験者の側近は 「とんでもない暴言だ」
「仮にも総理大臣たるものが”天皇の意思”を匂わせるなど言語道断。
総理と天皇は年間30回くらい顔を合わせるが、 言葉を交わす機会は 月1回程度の『内奏』。
内奏は、行政府の長として天皇に政治状況をご説明する立場。
天皇からお尋ねがあればそれに答える。
仮に総理大臣に天皇の意思が伝わるとすれば、そのお尋ねの内容であり、
もしそれを外部に漏らしたりすれば前代未聞の不祥事だ」
元宮内庁詰めのベテラン記者
「陛下が女系や女性天皇に賛同や反対の意思表示をされるとは考えにくい。
万世一系の伝統が自分の代で変わるかもしれないとの複雑な思いをお持ちのはず。
宮中の祭祀は大変なもの。陛下おひとりでなさる儀式も多く女性にはかなり辛いはず。
それを誰よりもご存じの陛下が、積極的に典範改正を希望されるなど不自然すぎる」

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そして、小泉首相の「不敬事件」が噴出
当時の閣僚のひとり
総理の姿を見て、皆ギョッとした 。羽織袴も正装にかわりないが、
他の列席者がモーニングか燕尾服を着ている中で明らかに異様だった。
儀式の後で元衆院議長の綿貫民輔さんのいる席でその話題が出て、
綿貫さんは”正装なら何でもいいというなら、
オレは(本職である)神主の格好で参内してもいいのか”と怒っていた。
最近になって「事件」が広く伝わると、他にも「不敬疑惑」が噴出。
「陛下と総理が同席された席で、”オレがいると陛下に注目が集まらない”といっていた」(閣僚経験者)

「新嘗祭事件」
(自民党ベテラン議員)
「祭儀の間、首相は賢所の外で待たされた 。当たり前なのだが、この時は特に機嫌が悪かったようで
”部屋が暗い””中で何をしているのか”などと不平を漏らしたというのです。
陛下がおひとりで行う厳かな神事ですから、誰も言葉を発することができずに青ざめていたそうだ」

(総理経験者側近)
「新嘗祭は皇室にとって最も大切な儀式
昭和天皇も崩御の2年前までご高齢をおして祭事をされた。
さすがに病に伏せっておられた最後の年は他の祭事同様に掌典長に代行させたのだが、
掌典長は一心不乱に儀式に打ち込むあまり、賢所で倒れて動けなくなってしまった 。
それほど真剣で神聖な祭祀に総理大臣といえども口を挟むことなど許されるはずがない」



選択2006年3月
小泉が「愛子天皇」に固執する理由
典範改正に関する議論
ことの起こりは「愛子さまのこと」と皇族の一人がもらした。
「愛子さまのこと」とは「皇太子家の事情」である。
雅子妃の適応障害について宮内庁内部では
「開き直っている。病気を理由にこのまま公務などしないおつもりではないか」(高官発言)という声がある。
「雅子妃は皇族を辞めたがっている」という憶測は公然の秘密。
皇太子夫妻の離婚という未曾有の不祥事から皇室を守るため、
愛子内親王の立場を早期に確定させて雅子妃を皇室に繋ぎとめようと一部の官僚が画策。
小泉が「有終の美を飾る大事業だ」と便乗した、とする仮説が真実味を帯びる。
「女系天皇で問題ない」と師弟で主張する田中卓や所功は羽毛田に「皇太子家の事情」を吹き込まれたのだろう。
羽毛田は宮内庁内に少なくなかった女系天皇容認慎重派の職員を「いじめ」て翻心を迫った。
とはいえ、保守陣営が二つに割れて非難しあう現状を喜ぶ勢力が息を潜めて見守っているのを忘れてはならない。
意見を自由に表明できない皇族が意に沿わぬ改正案を止めるための実力行使に打って出たとも思える「慶事」。
さすがの小泉も「宮さま方がここまでなさるとは・・」とたじたじとなったようだ。


朝日新聞アンケート結果
「男系の伝統を変えてでも天皇制を維持する必要は?」
「ない 36%」
「ある 28%」
女性天皇を認めるべきとする理由のひとつ
「天皇制をなくす第一歩」
女系容認が天皇の正統性を大きく揺るがし、
天皇制そのものにも致命的なダメージを与えることを裏付けた結果ではないか。

「女系天皇はひっくり返る」
皇族からも反対の意向
拙速な皇室典範改正を批判していたェ仁親王はインタビュー記事で、
「三笠宮一族は、同じ考え方であるといえる」と語り、
父で昭和天皇の弟である三笠宮崇仁親王と、母の百合子妃も同意見であることを明らかにしている。
「ェ仁親王だけならともかく、温厚で学者肌の崇仁親王まで反対なのか」(政府関係者)と
政界に大きなインパクトを与えた。
このほか、「現天皇陛下の弟である常陸宮正仁様や故高円宮様の久子妃も周囲に、
女系を認める皇室典範改正に疑問を示されている」(宮内庁関係者)という証言もある。
政府や自民党幹部の一部はこれまで、
「今回の皇室典範改正は天皇陛下のご意思だ」とほのめかして反対派の翻意を促してきた。
しかし、天皇のいとこでもあるェ仁親王が雑誌などで、繰り返し「絶対にありえない」
「(女系だとか長子優先だとか)具体的におっしゃるわけがないことは声を大にして言っておきたい」
と否定したことで怪しくなった。
宮内庁などから有識者会議に、間違いか、または誇張した情報が伝えられていた可能性もある。
もう一つ政府を悩ましているのが、政府の皇室伝統軽視の姿勢に怒った右翼によるテロの可能性だ。
現在でも、ェ仁親王の発言を「どうということはない」と言い放った有識者会議座長の吉川弘之の自宅には
脅迫状が多数届いているとされ、SPが身辺警護をしている状態だ。
すでに警察庁は「右翼がテロを準備している」との情報を掴んでおり、
今後、皇室典範改正案が国会に提出され、本格的な審議が始まると不測の事態が生じかねない。
これまで「左翼過激派に比べおとなしい」(公安筋)といわれた右翼としても、
さすがに事態を看過できなくなってきたというわけだ。


日刊スポーツ政治コラム 2006年2月頃
記事抜粋
小泉は虎の尾を踏んだ。
日本がやってはいけない2つの罪を犯し、踏んではならない尾を踏んでしまった。
禁の一つ、皇室典範改正である。 とある古参幹部は語る。
「小泉はなぜそんなに急ぐのか。その動機が許せない」と、驚きの内情を明かす。
「昨年、小泉は宮中の重大な行事の際、皇居に参内した。
その時、陛下に拝謁するまでの間、30分以上も待たされた。
総理大臣として過密スケジュールの中駆けつけたとの思いがあったのか
長い時間待たされたことに不機嫌になった。
天皇陛下は行事のさなかにいらしたが、小泉は宮内庁側に『何をしているのか』と不快感をぶつけた」
「そのことがあって、『皇室改革も必要だ』と側近に漏らし、皇室典範改正の動機付けになった」
まさかと思うが、党内に現に伝わっている。

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