10年10年・そうでない方


皇太子妃殿下のお誕生日に際し(平成14年)
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/02/kaiken/kaiken-h14hn.html
平成14年12月

皇太子妃誕生日に際しての記者会見

問1  それでは,質問させていただきます。妃殿下にお尋ねします。皇族になって10年目に入られ,人生の中で一つの大きな節目であろうと思います。殿下との出 会いからご成婚,敬宮愛子さまのご誕生,そして満1歳のお誕生日に至るまで様々な喜びやご苦労もあり感慨も深いのではないでしょうか。これまでのご自身の歩みを振り返り,あわせて今後を展望して,抱負をお聞かせください。

皇太子妃殿下  はい。いま10年目と言われまして,ああ10年目なんだなというふうにまず思いました。自分の中では9年という気持ちが強かったものですから,10年目 と言われて,10年と申しますと,十年一昔とも申しますし,十年一日のごとしとも申しますけれども,確かに考えてみますと,年が明けますと,1月19日に皇室会議を開いていただいて,そして婚約ということになったのがもう10年も前になるんだなあということを思い出しますと大変深い感慨がございます。その 後,皇室に入らせていただいて,私なりにいろいろと努力をしてきたつもりではございますが,本当に力の至らない点が多かったのではないかしらというふうに思いますが,常に皇太子さまに温かく支えていただきまして,いつもいろいろとご相談に乗っていただいて,励ましていただいてここまで元気に過ごしてまいる ことができましたことを,本当に有り難いことと思っております。

 殿下との出会いは,さかのぼってみますと昭和61年の秋でございますか,ちょうどこのお部屋で,両陛下がスペインのエレナ王女さまのためにレセプションを お開きになっていらしたところに私の両親と一緒にお招きを頂いて,伺った時が初めてお会いした時で,その後,いろいろな事がございましたけれども,私自身,まさか自分が皇室に入らせていただくことになろうとは夢にも思っておりませんでしたので,本当 に何年かの後にそういうお話になりました時には,大変驚き,その時は本当に大きな選択であったと思います。また,分からないこともたくさんございましたし,心もとない気持ちでおりました中を皇太子さまにいろいろとお教えいただきながら,また,天皇皇后両陛下にいつも温かくお見守りいただきながらここまで まいりますことができましたこと,大変有り難く思っておりますし,そして昨年は子供が誕生いたしまして,国民の皆さんから本当に温かい祝福の気持ちを折に触れてお示しいただいてることを心から有り難く感謝しております。

 そうでございますね,後は私たちの結婚に至るまでの過程の中で,高円宮さまにはとても心を砕いてくださってましたし,そしてまた,結婚後も本当にいつも優 しく心を寄せてくださって,皇太子さまにとっては五つ年上のお兄さまのような存在でいらした方で,本当にいつも温かく私たちを励まし,いろいろアドバイスしてくださってましたので,今回本当に突然の事でお亡くなりになってしまわれたことを本当に寂しく,本当に心が痛んでおります。妃殿下の久子さま,3人の お子さま方,そしてご両親でいらっしゃる三笠宮両殿下にはどれほどかお力をお落としのことと本当にご心中お察しするに余りある思いでおりますけれども,ご生前に宮さまから頂いた本当にたくさんの温かいお励ましを有り難く思っておりまして,ご冥福をお祈りしたいと思います。

 その意味で,一つとても思い出に残っておりますのは,結婚の日の私たちのパレードがございましたけれども,ずっと皇居を出て新宿通りから学習院の初等科前 を通って,鮫が橋門から入門してこちらの赤坂御用地内に入ってまいりまして,そして当時は東宮仮御所でございましたので,後ほど,こちらと御用地の反対側になるわけですけれども,そちらに向かう途中,いつも園遊会が開かれております赤坂御苑の所を通りましたのですけれども,その時に思いがけず,高円宮両殿 下がそのころまだ初等科の低学年でいらしゃった承子女王さまをお連れになって,お池の所でとても温かく優しい感じでお迎えくださったのが本当に予期していないことだったんでございますけれども,その光景が本当にうれしいこととして大変思い出に残っております。

 この1年を振り返ってみますと,初めて親になりまして最初の何か月かは時間の流れがとてもゆっくりになったなあという感じがいたしました。それまでは公務 を中心にして,そして,その公務に合わせたいろいろな準備ですとか,そういったことで殿下と私と2人でいろいろなことの生活のペースというのが決まっておりましたけれども,子供がおりますとやはり子供中心の生活になりまして,時間帯もいろいろ不規則になったり,きっと子供さんがおられる皆さんは皆さんご経 験と思いますけれども,初めて親になってあたふたとしている日々で,初めの半年間は何だかそれまでよりも時間の流れがゆっくりだったような気がいたしました。その後,子供の方もだんだんと成長して活発に動くようになったりしまして,いろいろな表情も豊かになりましたし,活発に動き回るようになっております し,いろいろな反応が返ってくるようになって,それからはだんだんと時間が経つのがまた速くなって,あっという間にもう1歳の誕生日なんだわということで,先日1歳の誕生日を無事に迎えることができました。

 お陰さまで,とても今のところ身体が丈夫で,そしてまた,おおらかな性格といいますか,皇太子さまに似ましたのか,何ていうのかしら,ゆったりと,どっしりとしておりますので,その点健康に恵まれた子供を持っているということは,そうでない方もたくさんいらっしゃるわけなので,本当に恵まれたことだと思って有り難いことと思っておりますし,また,こちらでは子供の世話を手伝ってくれる職員も配慮していただいて,手配していただいておりますので,公務などとのことで私自身が面倒を見ることができない時も,そういった職員がよく面倒をみてくれていることもとても有り難いことと思っております。

 今後につきましては,子供を通してまた世の中のいろいろな新しい面も見えてくるのではないかしらと思っておりますので,一つ一つ新しい経験になりますけれ ども,その時その時できることを考えて,そして皇太子さまのお力にもなれるように努力しながら,子供の成長も見守りながら,私のできることをしていきたいと思っております。



問2 妃殿下にお尋ねします。この1年を振り返り,印象的な出来事や心に留まったことなど,身近なことも交えてお聞かせください。

皇太子妃殿下 この1年も本当にいろいろなことがあったと思います。年の前半の方ではソルトレークでの冬季オリンピックもございましたし,その後,6月にはサッカーの ワールドカップということで,これは史上初めて日本と韓国と2か国で共同開催をするということで,関係者も大変に力を尽くして準備を進めたことと思いますけれども,これが大変な成功のうちに終わって本当に良かったと思いましたし,また,その成功の陰には,高円宮同妃両殿下の,皇族としての初めての韓国への ご訪問,これもとてもきっと気をお遣いになることが多いご訪問でいらっしゃいましたと存じますが,本当に素晴らしい成果をお上げになっていらっしゃって,ワールドカップそのものの成功のためにも,宮さまは大変にお力をお尽くしになられていらっしゃいましたので,本当に成功のうちに終わって良かったなという 印象でございます。

 それからまた,秋にはノーベル賞の受賞者が国内から,同時に物理学賞と化学賞でございますか,小柴名誉教授と田中さんとお二人出られて,ダブル受賞という 言葉もはやったようでございますけれども,そういったことも初めてございましたり,そういううれしいニュースも幾つかございましたと思います。

 他方で,やはり日本の国内にあっては北朝鮮の拉致の問題でございますね,こちらが明るみに出て,そしてその被害に遭われた方のうちの何名かが帰国されたと いうようなこともございまして,また亡くなられてしまったと言われている方々もいらっしゃるわけで,本当にその被害に遭われた方々,そしてまた,そのご家族のお気持ちを思うと,本当にこれは胸が痛むことで,本当にお気持ちを察するに余りあることであったのではないかと思います。

 世界的に見ても,中東の情勢がやはり緊張が続いておりますし,また,テロの事件があちこちで起こっているといった,大変心配される事態もあります。という のは,私は昨年の誕生日の記者会見を出産後で控えさせていただきましたので,それ以前からの話になりますが,やはり昨年の9月のアメリカにおけるテロが起きて以降,何か世界の枠組みといいますか,世の中の情勢,流れが大きく変わったのではないかというのが,率直な印象でございます。

 それまでも,冷戦の構造の崩壊ということによって,地域紛争ですとか,内戦ですとか,世界のあちこちの地域でそういう問題が起きていましたけれども,今度 はまた,テロという形で相手が見えない脅威が一般の市民に降りかかってくるということで,こういった問題の背後にあるいろいろな貧困の問題ですとか,格差の問題,いろいろな問題について,これから世界の人々が手を取り合って,知恵を出し合って,対処していかなければいけないのではないかというふうに思って おります。そのような中にあって,アフガニスタンの復興に向けていろいろ支援がなされていますけれども,長いこと内戦で傷ついた国がだんだんといい形で復興してまいりますことを,本当に祈らずにはいられない気持ちでおります。

 身近なことは,やはり1問目でお答えした子供の成長ということと,それからやはり最近の高円宮殿下の急なご逝去というのは,本当に大きなことでございまし て,私も高円宮さまに大変お世話になっておりましたので,とても,なかなかその悲しみをまだ乗り越えることができずにおります。


問3  妃殿下にお尋ねします。皇后さまもライフワークの児童文学の分野で初めて単身,スイス訪問をされました。誕生日の文書回答では女性皇族の在り方について 「ご自分の求める女性像を,時と思いをかけて完成していっていただくことが望ましいのではないでしょうか」とお答えになっています。妃殿下ご自身は将来取り組んでみたいライフワークなどについてどのようにお考えでしょうか。これまでの皇族としての経験を踏まえ,今後の公務への抱負,子育てとのバランスの取り方などを含めお聞かせください。

皇太子妃殿下  今年,初めて,皇后さまが単身でスイスにいらっしゃって,児童文学の分野で会議に出席なさいまして,大変素晴らしいスピーチをなさいましたことを,本当 にたくさんの方の心を打ったことと思いますし,本当に素晴らしい成果をお上げになって,素晴らしかったと存じます。これも,皇后さまが本当に長年,努力を積み重ねていらっしゃった結果だと,深く敬意の念をもってそのご様子を拝見しておりました。皇后さまから,今お話のあったように,お誕生日の御回答で, 「自分の求める女性像を」ということをおっしゃっていただいていることは,とても有り難いことで,私自身まだ自分の求める女性像というものがどのようなものなのか,まだ本当に模索中でございますので,これから時間をかけて,まずそれが何であるのかということを考えていきながら,自分のライフワークとすべきことが何なのか,考えていきたいと思っております。今の時点で,やはり母親になりましたので子供の成長を見守り,そしてやはり子供が幸せな人になってくれ るように,それをいろいろな形で手助けしていくということが大切であると思っておりますし,それと同時に,公務という形で国民の皆さまと接したり,国民の皆さまが何を望んでおられるのかということを感じながら,いろいろと努力をしていかなければいけないなというふうに考えております。そして,ライフワーク というか,課題として幾つか自分の心の中に漠然とあるものは,何となくはありますけれども,そういうことをどういう形で良い形でかかわっていくなり,自分が理解を深めていったらいいのかということは,またいろいろと周りの人とも相談しつつ考えていきたいと思います。

 一つ申し上げるとすれば,以前の会見でも申し上げましたけれども,やはり難しい境遇に置かれている子供たちには心を寄せていきたいと思っておりまして,これは国内でもそうでございますし,また,これは世界的に見てもそういう子供がたくさんおりますので,そういう大変難しい状況に置かれて,いろいろな形でそれはあると思いますけれども,そういう子供たちに心を寄せて,自分に何ができるのかということを考えていきたいというふうに思っております。

 この間11月には―何年間かに一度は児童養護施設などの子供たちの文化祭というのには伺っておりますけれども―初めて児童養護施設そのものを訪れることが できて,本当にいろいろな背景を抱えた子供さんたちだと思うので,心に傷を負っていると思いますけれども,ゲームなんかを通してとても親しく一緒にさせていただいたということをとてもうれしく感じましたし,そういう子供さんたちが1人でも多く,早く家庭に帰ることができて,そして幸せに,もちろん施設でも 幸せに育っていって欲しいと思いますし,それにしても1人でも多くの子供が幸せであることができるようにといつも願っております。


<関連質問>

問4ー1 先ほど愛子さまのことについて,おおらかなご性格であるようなお話を。

皇太子妃殿下 の,ような気がしておりますけれども・・・  

問4−2 これはどういったところから,そういうふうに思われたのかということを。

皇太子妃殿下 おおらかというか,明るいというのか,私驚きましたのは,赤ちゃんでも,本当に2か月,3か月でもユーモアのセンスというのがあるんだなというのがビックリしたことだったのですけれども。殿下が,今までもお話したことがございますけれども,本当にとても子育てを手伝ってくださって,本当に大きな力になってくださってますけれども,例えば,殿下が何かで,ちょっとガーゼを落としておしまいになった時に,私が「あっ」という顔してみますと,子供が「にやっ」とこう笑ったり,それが本当に2,3か月のころからそういうことがあって,こんなに小さな子供なんかにもユーモアの感覚というのがあるんだなと思いまし た。余り細かい,余りやっぱり神経質な感じは余りないかしらという思いがするのと,大勢の方に迎えていただいて,例えば,那須の駅ですとか,いろいろな所に出掛けましたときに,とてもたくさんの方に迎えていただきますけれども,何か皆さんの喜んでくださっているというのを,感じますのか,自分から一所懸命手を振ったりというのも,私たちが全く教えたわけではなくて,きっと皆さんのうれしそうにしている様子というのを感じ取って,それを素直に自分なりに表現しているのかしらと考えるのですけれども,おおらかというのが適切な言葉なのか分かりませんけれども,何となく日々の様子を見ておりますと,今のところそんな感じかしらという感じがいたします。でも,子供は小さい時にこうでも,大きくなってそのままということはやはり少ないこともありますし,小さい時にいろいろな難しいことがあっても,大人になるととても朗らかでおおらかな人になるという場合もあると思いますし,今がどうだからどういう性格と決められないと思うのですけれども,何となく面白いなと思っております。
 何か,取り留めもないお話になってしまいました。



皇太子同妃両殿下ご成婚10年に際しての文書回答
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/02/kaiken/gokaito-h15-goseikon10.html

問1 両殿下それぞれに,改めて結婚10年を振り返ってお尋ねします。
殿下は今年のお誕生日に,「自分自身を見つめて,そして,自分自身を成長させることができた」とおっしゃいました。一方,妃殿下も昨年,「本当に大きな選択であった」とし,「私なりにいろいろと努力をしてきた」と振り返っていらっしゃいました。
この10年間,うれしかったこと,つらかったこと,希望の家庭を築くために互いに努力したことなどおありだと思います。様々な思い出と共に,それぞれお聞かせください。


皇太子殿下 この10年間を振り返ってみますと,早かったようにも思いますし,また長かったようにも思います。以前にもお話ししたように,この10年は「自 分自身を見つめて,そして,自分自身を成長させることができた」10年だったと思います。結婚により,私の生活も雅子ほどではないですが,変わりました。その過程で,私自身どうしたらよいか迷ったこともあったように記憶していますが,二人で様々なことを一緒にやり,二人で喜びや悲しみなども分かち合いつつ 歩んできたと思います。私自身としては二人で様々なことを共に行ったり共有することの中に喜びが存在したように思います。また,お互いを信じ合い,互いの人格を尊重し合うことにも努めてきたつもりです。

今までの経験を糧に,新たな気持ちでこれからの10年を過ごしていきたいと思います。この10年間私たちを温かく見守ってくださった全ての方々に,心からお礼を申し上げます。

皇太子妃殿下 10年間という月日を思い起こしますと,大変深い感慨に包まれます。10年前の6月9日に多くの方々からの沢山の祝福を受けて結婚の日を迎え ましたことを,心からの感謝をもって懐かしく思い出します。結婚当日に先立ち,様々な準備をしていたころを思い出しますと,随分と前のことであったようにも思われますし,逆に自分が,今こうしてここにもう10年もいさせていただいているのだと思うと,信じられないような気もいたします。

10年の間には,様々な喜びや楽しみも皇太子様と分かち合わせていただきました。同時に,人は誰でもそれぞれの境遇の中で困難に出会い,乗り越えていかなくて はならないものと思いますが,私自身,それまでとは全く異なった新しい世界に入り,それまで想像できなかったような難しさというものに出会うことも度々ありました。そのような時,皇太子様にはいつも私の側にいらして相談に乗ってくださり,私を励まし,支えてくださったことに,心からの感謝を申し上げたいと 思います。

登山や散策を通しての自然とのふれあい,そして,音楽の楽しみも皇太子様から沢山教えていただきました。また,犬のピッピ,まり(この夏でもう8歳になります。)を交えての生活は,私の心にいつも安らぎと潤いを与えてくれました。

そして,今は何より,ちょうど1年半になりました娘の愛子が本当に元気に明るく育ってくれていることを,うれしく有り難く思いますとともに,おととし暮れの 愛子の誕生とその後の成長に対し,国民の皆さんより寄せていただいている温かい祝福の気持ちを心より有り難く思い,この皆さんからの温かい気持ちを大切にしていきたいと思っております。

この10年間,沢山の方々に助けていただいて,こうして10周年の記念日を迎えることができますことに,心から感謝したいと思います。


問2 両殿下にそれぞれ,お尋ねします。
これからの10年,どのような家庭,生活様式(ライフスタイル)を希望されますか。二人目のお子様についても併せて,具体的にお聞かせください。将来の皇室 像やご自身について,両殿下は「若い世代の皇族としての望ましい姿勢を常に模索して,21世紀の皇室にふさわしい活動ができれば」「子供を通してまた世の中のいろいろな新しい面も見えてくるのでは」などとおっしゃっていますが,これから,皇族としてどのような姿を国民に示そうとお考えですか。公務に取り組 む上での視点やテーマ,国民との触れ合いの持ち方についても,お考えをお聞かせください。

皇太子殿下  一昨年暮れに子供を授かったことは,とても有り難いことでした。愛子もお陰様で順調に育っており,日々の成長が楽しみです。これからも愛子を二人で一生 懸命育て,明るい家庭を築いていきたいと思います。幼いうちに子供に対し,しっかりと愛情を注ぐことは,この上なく大切なことです。その意味でも,以前にも申し上げたことの繰り返しになりますが,今しばらくは,愛子の子育てを大切にしていきたいと思っています。二人目の子供について質問がありましたが,今 後,一人目に至るまでにあったような内外からのプレッシャーを是非とも避けたく,この点につき,よろしくお願いしたいと思います。

将来の皇室像については,今までの繰り返しになりますが,時代の要請を的確に感じ取って若い世代の皇室にふさわしい活動ができればと思います。私は,皇族と して,公務というものはとても大切なものと思います。公務を通して様々な事を知り,国民ともふれあっていきたいと思います。かねがね私たちは,21世紀の皇室にふさわしい活動ができればと申してきましたが,それは,目まぐるしく変化の大きい今の時代を考えたとき,公務として,自分たちがするのに何が大切か ということを見極めることです。今までの公務も含め,ここでもう一度,私たちの公務についてもそのような視点で考えてみたいと思います。そして,今後の日本や世界の将来を担っていくことになる若い人たちとの交流を,大切にしていきたいと思います。

また,海外への親善訪問は皇族としての活動の中でも大切なものですので,今後も機会を見つけては諸外国を訪問し,親善訪問の分野でもお役に立ちたいと考えます。


皇太子妃殿下 とても難しい質問ですが,現在,世の中は大変な速度で変わりつつあるように思います。私が皇室に入りましたころと今を比較してみますと,この10年間で,例えばインターネットの普及一つとってみましても,どれ程世の中が変わったかということに驚かされます。

このような中で,皇族としての私たちの世代に,これからどのような姿が望まれるかということについては,様々な角度から考えていくことが大切なのではないか と思います。広く人々の幸せを祈りつつ,これからの日本や世界の人々にとって何が大切になってくるかという将来像を自分なりに把握するように努め,広い視野に立って世の中に関わっていくことを考えていかれればと思います。そして,皇太子様とよくご相談しながら,皇太子様にとっても少しでもお力になることが できるよう,努めていきたいと思います。

家庭にあっては,娘の愛子が日々沢山の喜びをもたらしてくれることを大変幸せに感じます。また,同時に,急速に変化している社会の中にあって,皇室において 子供を育てていく上での親としての責任の大きさも感じますが,愛情をもって子供を育て,皇太子様にとっても,また子供にとっても安らぎのある温かい家庭となればうれしく思います。同時に,子供が広く世の中を知って育っていくことができるよう,心懸けていきたいと思っています。

また,今の時点で,公務ももちろん大切に考えていますが,子供にとって,人生の最初の何年間はとても大切な時期とも聞きますので,愛子の成長を見守り,助けていく育児も,親として大切にしていきたいと考えています。

問3  両殿下にそれぞれ,お尋ねします。 10年という節目に当たり,お互いに相手に対し,どのような言葉をかけたいと思われますか。そして,殿下は妃殿下を妻,母親として,妃殿下は殿下を夫,父親として,何点をお付けになりますか。その理由は何でしょうか。夫婦の間で大切にしてきた約束事や子育ての方法など,家庭での「主導権」を握るのはどちら か。「夫婦円満」の秘訣は。お互いに感謝したい点,学んだ点,そして注文したい点を,具体的なエピソードも交えて,お聞かせください。


皇太子殿下  本当にこの10年いろいろとご苦労様でした。よく努力しました。いろいろとありがとう。と言いたいです。点数を付けるのは難しいのですが,最初にお話し したことからもお分かりのように,私は,雅子は,「努力賞」と「感謝状」ならぬ「感謝賞」のダブル受賞ではないかと思います。

夫婦として,よく心懸けたこととしては,お互いによく話し合うことと相手の立場に立って物事を考えていこうとしたことだったと思います。公務でお互い忙しい ときもありますが,食事の折りや機会を見付けては,どんなに小さいことでも,気付いたことがあればお互いに意見を交換するようにしてきました。雅子にとって,私がとても大変だったのではと思うことの一つに,常に人に見られ注目されるということが挙げられます。私の場合は生まれながらに皇族でした。そして, そのようなことには,時間をかけて徐々に慣れてきたように思います。雅子の場合はそれが私と結婚したとたんに始まったわけです。(それ以前からとも考えられますが....。)よく,今日まで視線に耐えて頑張っていると思います。私は,人に見られることや注目されることに疑問を持った自分自身の幼少のころ や,それに徐々に慣れていく過程を思い出しながらアドバイスするように努めたつもりです。(ただ,自分として,これらをどこまで実践できたかは分かりませんが。)また,懐妊へのプレッシャーはとても大きなものがありました。雅子にとっては本当につらい日々だったと思いますが,二人で乗り切ることができたこ とは有り難いことでした。「夫婦円満の秘訣」は何でしょうか?先ほどお話ししたお互いよく話し合うことと相手の立場に立って物事を考えることに加えて,自分が間違っていたと思った ら素直に謝ることでしょうか。

子育ての方法としては,できるだけ私も育児に参加したいと思ってきましたし,今後もそうしたいと考えています。これからは父親の役割,母親の役割というものも自ずと分かれてくるでしょうから,母親と子供とのコミュニケーションも父親の立場から大切にしていきたいですね。

感謝したい点は,まず,雅子がそこにいてくれることです。雅子がいてくれるだけで心が明るくなるのを感じます。ユーモアがあるのもうれしいことです。学んだ 点としては,今までの本人の経験や体験などから私が学ぶことが多かったと思います。海外での生活や外交官としての仕事あるいは帰国子女としての体験などがそうでしょうか。そして,そのような経験や体験を基に形作られる雅子の物事のとらえ方や考え方からも多くのことを学びましたし,自分の世界が広がったよう に思います。趣味の音楽や山歩きでも,結婚後関心の対象が膨らんだこともうれしいことです。学んだ点は即感謝したい点とも言えるのではないでしょうか。一つ付け加えれば,結婚当初私が学んだこととして丹念に資料に目を通すことが挙げられます。私などは,繰り返しの公務については当時は余り資料には目を通し ていませんでしたが,雅子の態度を見て改めて資料を読み直し,気付いた点もありましたし,自分のいい加減さに反省させられました。

注文したい点は,余り無理をしないようにということかもしれません。大変まじめで忍耐強く,よく努力するので,少し気を抜けるように私も力添えができればと 思います。殊に,子育てと公務を同時にすることはとても大変なことですので,その辺りの調整も必要になってくるかと思います。くれぐれも体を大切にして欲しいと思います。


皇太子妃殿下 皇太子様にこのように仰っていただいて胸に熱く迫ってくるものを感じますと同時に,私としては穴があったら入りたい気分でもございます。(皇太子様の仰った「資料によく目を通す」件も,もう既にはるか昔のことになってしまいました...。)

皇太子様に,私からは,全てにわたり本当にありがとうございました,と感謝の気持ちで一杯です。

この10年間,どのような時も私に優しくお心を配って支えてくださいましたことに,感謝の念は尽きません。いつどのような時でも,物事を平常心でお受け止め になり,堂々となさっていらっしゃると同時に,ユーモアもお忘れにならないゆとりのおありになる皇太子様からは,教えていただくことが本当に多く,日々の生活の中でも大きな安堵感を与えてくださっています。

また,娘が生まれましてからは,本当に素晴らしいお父様ぶりで,愛子も皇太子様に大変なついております。このことは,私にとり,とてもうれしいことであると 同時に,とても心強いことに感じます。これまでもそうでしたが,これから皇室の中にあって,子供を育てていく上で,私がいろいろと迷った時に,皇室の中でお育ちになった皇太子様が,良きお父様として,確かな手で導いてくださると信じられるからです。

皇太子様に点数を差し上げることは少々はばかられるような気もいたしますが,もし,満点というものがあるのでしたら,皇太子様は満点以上でいらっしゃることは確かではないでしょうか。

これまで,皇太子様にお助けいただいて,私が10年間の時を無事に過ごしてくることができました分,これからは私も皇太子様のおみ足をお引っ張り申し上げないよう,皇太子様がお元気にお役目を果たしていらっしゃれますよう努めてまいりたいと思います。

ところで,私自身は,今日は全ての質問への答えをまとめることが難しく感じられ,試験で落第点をとった夢を見そうな気がしています...。



参考 10年会見は雅子さま39歳

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

◆美智子さま成婚10周年の記者会見 (34歳)
「結婚して、慣れないことや、自分がいたらないために難しく思われることも多くございましたが、
こうして振り返ってみますと、辛かったことよりも、そのたびごとに、温かく励まし、
お導き下さる方々に恵まれたことがうれしくありがたく思い出されます」


◆紀子さま成婚15年を迎えてのご感想 (38歳)
「結婚後,務めをしながら家庭を築く過程で,多くの人々の助けや支えを頂き,
今日まで過ごすことができましたことを感謝しております。
14年余りの歳月は,感慨深く振り返るという長さではないかもしれませんが,
懐かしいこととして(平成2年)6月に行われた私たちの結婚の行事,
また,その年の11月に参列させていただきました天皇陛下のご大礼を始め,
宮様と同伴した国の内外の訪問などがございます。
また,二人の娘に恵まれましたことも,大きな喜びでございます」


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