工作機関化するメディアの現実

WiLL-2008年8月号
工作機関化するメディアの現実
水島総(「日本文化チャンネル桜」社長)

昔、「社会党と朝日新聞の言っている反対のことをすれば間違いない」と書いた人があった。
それは今日に至るまで、ほぼ正しかったことが実証されている。私は今、繰り返されてきた
陳腐な「朝日批判」をするつもりはない。ただ、朝日新聞にある疑惑が浮上した。
中国と「結託」し、国民に対する悪質な政治宣伝工作に直接加担したのではという疑惑である。
 昔も今も、朝日新聞は自分たちの思う方向に日本国民を誘導しようと実践して来たが、
今回の新たな疑惑は、在日中国人李纓(リイン)氏が監督した映画『靖国−YASUKUNI』
(以下『靖国』)についてである。
 マスメディアの「表現の自由」介入反対大キャンペーンのおかげで、日本各地の公開が
実現したが、とどのつまりは「反靖国神社」工作を目的にした中国プロパガンダ映画だと、
国民の間にばれてしまった。不幸中の幸いである。
 その調査過程で、朝日新聞が、この映画の宣伝工作に直接関与、支援をしていたのでは
という疑惑が浮かんだのである。
 この『靖国』は、在日中国人映像プロダクションが、文化庁から750万円の補助金を
受け取り、中共政府肝いりの複数の中国企業が参加して共同製作された。
実は朝日新聞が、この映画の広報宣伝分野で、秘かに資金面で支援協力をしたのではという疑惑である。
それが朝日新聞夕刊の一ページ全部を使った映画『靖国』の広告である。
 広告の主な中身は、田原総一朗氏と監督の李纓氏の対談である。私はこの映画宣伝の資金が
中国から出ているのではないかと指摘した。
 というのも、「天下の」朝日新聞夕刊一ページ全部を広告宣伝に使うとすると、
掲載料金の定価は3千73万5千円なのである。豊富な製作資金のあるハリウッドの
エンタテイメントメジャー映画でさえ、朝日新聞の一ページ全部を使って宣伝することなど
ほとんど無い。まして、映画『靖国』は文化庁に補助金を申請する「地味な」
「貧乏」ドキュメンタリー映画のはずである。
 これは一体どうしたことなのか。だからこそ、私は中国からの資金提供ではないかと
考えたのである。しかし、どうも私は間違っていたらしい。資金は中国からではなく、
朝日新聞から出ていたらしいのである。情報の出所はその人物の保護のため明かせないが、
朝日新聞は夕刊一ページの広告料をほとんどただ同然の値段で提供したのである。


本当の掲載料金は?
 その値段は最初、100万円との情報が伝えられたが、あらためて事の重大さに鑑み、
確認を頼んだところ、「数百万円」との答えが返って来た。最大限の900万円としても、
6割以上の大幅値引きである。
 創価学会のような宗教団体系の雑誌広告のように何度も連続して広告主となるスポンサーには、
1割や2割、あるいは3割の値引きもあるだろう。しかし、映画『靖国』は、名も無く貧しい
在日中国映像プロダクションの製作であり、1回限りの客である。割引などほとんど
あり得ないし、いや、掲載することすら、とんでもないはずなのだ。
 おそらく本当の掲載値段は、最初の情報だった100万円か200万円位だったのだろう。
そうなると9割5分の割引となる。6割引にしろ9割引にしろ、これはもう、割引などという
ビジネスマターではない。宣伝広告費用2000万円から3000万円の資金提供であり、
映画製作への直接的関与と支援と言っても過言ではない。
 さらに、重要な事実が伝えられている。この広告企画は、朝日新聞側から李監督側に
申し出たという情報である。
 しかし、朝日が東芝なり、森永製菓なりの大手スポンサーにそういう広告企画を
もちかけたのならわかる。しかし、相手は貧乏プロダクションである。ふつうならあり得ない話だ。
 映画『靖国』は、ご存知の通り、政治家の「表現の自由」への不当介入として、
朝日新聞等、ほとんどのメディアによってキャンペーン報道が為された。今回、朝日新聞は
単に報道機関としての報道だけではなく、秘かに、あの映画に直接関与して支援工作を行い、
「宣伝工作機関」の役割も果たした可能性が高いのである。
 もし、今回の私のこの指摘が間違っているなら、朝日新聞は、映画『靖国』の新聞広告の
実際の値段を含め、全事実を国民の前に明らかにすべきである。そうでなくては、
定価もしくは定価に近いわずかな割引値段で朝日新聞に広告を出している各企業への裏切りとなるだろう。
 多くのマスメディアに、多数の情報工作員が浸透していることは、よく知られている。
今回の新事実によって、報道機関としての朝日新聞とは別の「顔」と「役割」が垣間見え、
その「害毒」が露出したのである。これは今に始まったことではない。

今こそ朝日が「帰還運動」を
 過去の「害毒」の一例を挙げてみる。かつて朝日は北朝鮮を「地上の天国」として喧伝し、
在日朝鮮人とその日本人妻や家族の祖国帰国運動を推進した。結果は、悲惨そのものであるのは
ご存知の通りである。これについて、朝日新聞は今なお知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいるが、
実は、この北朝鮮帰国推進運動の本質は、新聞と言う公器を公然と使って行われた北朝鮮への
「拉致」行為である。
 北朝鮮の日本人拉致は、北から来た工作員と日本国内の協力者(工作員)との共同作業として行われた。
朝日新聞も「祖国帰還運動」において、国内協力者(工作員)の役割を果たし、
当時の北朝鮮の「拉致」活動に協力したのである。
 6月半ば、政府は日朝会談で、よど号ハイジャック犯の送還と拉致問題再調査の見返りに、
経済制裁の一部解除の方針を決めた。よど号ハイジャック犯グループが行ったのは、
ハイジャックだけではない。北朝鮮の命を受け、世界各地で、言葉巧みに日本人を誘い、
北朝鮮に拉致したのである。
 全く同じ行為を朝日新聞は新聞紙面を使い、「地上の天国へ」という巧みな言葉をもって、
多くの人々を北朝鮮に「拉致」する行為を実行したのである。一体、朝日新聞と
よど号グループのテロリストたちの行為のどこが違うというのか。
 もっとも私は、朝日新聞が今こそ、この祖国帰還運動を推進してもらいたいと願っている。
百万人以上の餓死者を出し、何の自由もないファシスト国家の指導者金正日に忠誠を誓い、
「拉致問題は解決済み」という北朝鮮の主張に賛同してきた在日北朝鮮籍の人々には、

一人残らず愛する祖国にご帰還いただき、祖国再建に努力してもらいたい。
 朝日新聞にも、是非、新「祖国帰還永住運動」を推進していただくようお願い申し上げたい。
 その朝日新聞が、最近、テレビ朝日と株式の平等な「持合い」と報道を中心とする
業務提携を発表した。文字メディアと映像メディアの融合の流れなのだが、

本質は文字メディアのテレビ(映像)メディアへの屈服、吸収の流れを示したものである。
 インターネットや携帯電話のコミュニケーション手段の普及によって、情報の独占が破たんし、
文字メディアも映像メディアも、国民から逆襲にあっているのである。
一見、小気味よい事にも思われるが、そう言っておられない。
 以前、文字メディアの本質はインフォメーションで、テレビメディアの本質は
インプレッション(印象)だと指摘したが、互いに本質の異なるメディアの安易な融合は、
「低きに流れる」融合であり、かなり危険なことである。特に印象操作が本質のテレビに
吸収される流れは、より危険である。
 しかし、新聞各紙の販売不振や出版不況を見れば、他の大新聞や地上波テレビ局も
追随していくのはほぼ間違いない。
 同時に、私たちが注目すべきなのは、マスメディアの融合現象は、反面において、
朝日新聞の垂れ流してきた「害毒」の強化拡大をも意味しており、外国の「対日情報工作」が
完成段階に入ることも意味しているのである。

目次5へ