那須御用邸

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Q:天皇、皇后両陛下や皇太子ご一家が毎年夏に静養される「那須御用邸」は、どのようなところですか?

A:避暑に使われる別邸
JR東北新幹線の那須塩原駅から車で約30分、
栃木県那須町湯本の那須高原の中腹に那須御用邸はあります。広さ約660ヘクタール。
近くの源泉から温泉が引かれています。「御用邸」とは別邸という意味です。
皇太子時代の昭和天皇と香淳皇后の新婚旅行先として計画されましたが、
関東大震災で中断、ご成婚から2年後の1926年(大正15年)に完成しました。
ニュースでは「那須御用邸」と総称されますが、御用邸の敷地内には「本邸」と「付属邸」があり、
本邸は両陛下、付属邸は皇太子ご一家が使われています。
本邸も、付属邸も、他の皇族方が使われることはなく、
秋篠宮ご一家が滞在される時は「供奉員(ぐぶいん)宿泊所」と呼ばれる職員用の施設を利用されています。

その本邸の建物は、木造3階建て、延べ床面積2840平方メートルの山荘風の建物で、
1926年(大正15年)7月に建てられました。一方、付属邸は、木造平屋、一部2階建て、
延べ床面積1502平方メートルの建物で、1935年(昭和10年)7月に建てられました。
二つの建物は、標高680〜690メートルの高原に、300メートルほど離れて立っています。
どちらも展望室がありますが、構えは質素で、付属邸は昔の小学校の木造校舎のような雰囲気です。

今年(2011年)3月、東日本大震災の発生を受けて御用邸内の温泉が被災者に提供されましたが、
それは秋篠宮ご一家が宿泊される職員用宿泊所のお風呂でした。
もともと那須御用邸の敷地は約1225ヘクタールもありましたが、天皇陛下の即位20年を機に、
「豊かな自然を維持しつつ、国民が自然に触れることができる場に」という陛下の考えを受けて、
半分の約560ヘクタールが環境省へ移管されました。

その後、ブナやミズナラなどの自然林が広がる高原にフィールドセンターや歩道などが整備され、
今年5月に日光国立公園「那須平成の森」として開園しました。

戦前、皇室の御用邸には、日光(栃木県)、日光田母沢(同)、塩原(同)、沼津(静岡県)などがありましたが、
戦後の皇室財産の整理に伴って当時の厚生省や県などに引き渡され、
現在あるのは那須御用邸と、神奈川県葉山町の葉山御用邸、静岡県下田市の須崎御用邸の三つです。
主に那須は避暑、葉山は避寒に使われています。

昭和天皇は那須の野を好み、毎年夏に2か月ほど滞在して植物調査などにあたっていました。
このため、任命に天皇の認証が必要な「認証官」の任命式が那須御用邸で45回も行われています。
しかし、今の陛下は長い休みを取られませんから、御用邸で認証式が行われたことはありません。

 今年も天皇、皇后両陛下は7月26日から4日ほど那須御用邸で静養されますが、
「那須平成の森」を視察したり、栃木県に避難している被災者を見舞ったり、近くの農家を訪ねたり、
ゆっくりご静養とはいかないようです。(編集委員 井上茂男)
(2011年7月26日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qanational/20110726-OYT8T00515.htm