悠仁さまの力作「昔の暮らし」

悠仁さまの力作「昔の暮らし」
宮内庁担当 多田晃子、島康彦
2016年12月22日16時27分
かまどに井戸、五右衛門風呂……。宮内庁庁舎3階の講堂に、
昔ながらの暮らしぶりがわかる日本家屋のミニチュアが出現しました。
秋篠宮家の長男悠仁さま(10)が、ご家族や職員らの協力を得てご一家で出品した「昔の暮らし」という作品です。
細部まで精巧に作り込まれた力作に、盛んに写真を撮ったり、熱心にのぞき込んだりする人の姿が目立ちました。
12月8日から10日まで開かれた「宮内庁職員組合文化祭美術展」の会場での風景です。
同展は職員やその家族らの作品とともに、天皇、皇后両陛下や皇族方の作品が特別出品されるとあり、
毎年注目を集める行事の一つ。ただ、一般には非公開のため、貴重な作品群の一部を紹介します。
悠仁さまは現在、お茶の水女子大付属小学校の4年生。昔の暮らしに関心があり、今回の作品を発案したそうです。
秋篠宮さまは今年の誕生日に際しての記者会見で、悠仁さまについて
「彼が知らない時代、少し前の時代の人々の暮らしとか道具とか、そういうものにも関心があるようで、
よくそのことについて私に聞きに来ることがあります」と話しています。
宮内庁によると、悠仁さまは図鑑などで調べたりご家族に尋ねたりするなどしながら間取りを考え、
瓦ぶきの屋根や緑色の畳などのほか、台所で使うかまどや水がめなど小物の制作に取り組んだそうです。
よく見ると、台所にはおひつやまな板、包丁やしゃもじまで精巧に作られていました。
廊下や扉、壁にいたっては木の素材や並べ方を使い分けるこだわりようで、
透明なプラスチック板をはめ込んだ窓までありました。和室のふすまには、色鉛筆で富士山の絵が描かれ、
訪れた会社員の女性(28)は「ふすまも絵もすごい。奥までちゃんと作られているのがすごいですね」
と感心した様子。悠仁さまは今回、台所の道具や井戸、風呂などを中心に作りましたが今後、
他の部分も制作するそうです。
悠仁さま単独では2作品を出品。一つは「小さな楽しみ その1」と題した作品で、
粘土と針金で「片面角形信号機」と「歩行者用信号機」の模型を制作。
信号機には色を塗り、手書きで「表町二丁目」「歩行者 自転車 専用」などと表示していました。
宮内庁によると、悠仁さまは幼稚園の頃、信号機が電球からLEDに変わると聞いたのをきっかけに
興味を持ったそうです。昨年出品した「車両用電球信号灯の模型」はほぼ実物大で、
スイッチを押すと信号が点灯する大作で、大きな話題を呼びました。
もう一つの作品、「小さな楽しみ その2」と題した切り絵は、
秋篠宮妃紀子さまの用事が済むのを待つ間、短時間で作ったそうです。
悠仁さまは12月6日、秋篠宮ご夫妻とともに長崎市の平和公園を初めて訪れました。お茶の水女子大付属小学校の休みを利用した私的旅行で、原爆の爆心地にある「原爆落下中心地碑」に白菊とランの花を供えました。
 悠仁さまが同県を訪れるのは初めて。紺色のスーツ姿で、事前にご夫妻から原爆投下や被害状況について話を聞いたそうです。ご一家は長崎の原爆投下の日には黙禱(もくとう)をささげています。
 事前に報道陣は知らされていませんでしたが、その後、公園に近い長崎原爆資料館に足を運びました。宮内庁幹部によると、悠仁さまは熱線や爆風の被害についての展示を熱心に見て回り、「放射能とは何ですか」などと質問。原爆による熱線で溶けたガラス瓶に触れたほか、木がなぎ倒された写真をみて「どのくらいの木が残ったのですか」と質問したといいます。元長崎大学長で被爆者の土山秀夫さんからも体験を聞きました。
 続いて、長崎市内の歴史文化博物館を訪問。江戸時代に中国やオランダの船が長崎・出島に出入りし、日本に持ち込まれた品々が展示され、悠仁さまは漢方薬の原料に使われた水牛の角をみると「牛?」と不思議そうに首をかしげたり、牛のように角をご自身の頭に乗せて笑顔を見せたり。香料の香りをかいだ際は「あー、シナモン!」。悠仁さまの成長ぶりを間近に見られる貴重な一日でした。

美術展に話を戻します。
皇太子ご夫妻の長女愛子さま(15)は、4作品を出品。学習院女子中等科の書写の課題の「大志」という書は、
伸びやかで力強い書体が非常に印象的でした。美術の授業で作ったオルゴールは、
木の箱に音符などの可愛い模様が彫られていました。
そのほか、栃木県那須町での静養中に作ったステンドグラスのストラップ、
8月に作ったキャンドルはいずれも生き物をモチーフにしたもので、動物好きの愛子さまらしい作品でした。
両陛下が出品したのは、1月の歌会始のために書いた自筆の書です。
「人」というお題で、天皇陛下が詠んだ歌は「戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ」。
昨年4月、慰霊に訪れたパラオで、旧日本軍と米軍の激戦があった島に向かって拝礼した時のことを詠んだ歌です。
皇后さまの歌「夕茜(ゆふあかね)に入りゆく一機若き日の吾(あ)がごとく行く旅人やある」は、
夕方の空を進む飛行機を見ながら、お一人で欧米を旅行した頃を思い出し、
「あの一機にも、自分と同じような旅する若者が乗っているのだろうか」と想像したことを詠みました。
陛下はしっかりとした字で、皇后さまは繊細な字でしたためており、
来場者の中には両陛下の書と記念撮影する人もいました。
皇太子ご夫妻は5点の写真を出品。栃木県那須町での静養中に登って撮影した作品「那須朝日岳」や
登山中に出会った怪獣のような形をした岩のほか、那須御用邸近辺に住み着いた黒猫を撮影。
静岡県下田市での静養中に撮影した三井浜の岩場などの写真もあり、どのカットにも思い出が詰まっているようでした。
秋篠宮さまは2012年のベトナム調査旅行で調査対象だった「ドンタオ鶏」を粘土で制作。
秋篠宮妃紀子さまは、旅行先で作ったという、植物の葉で模様をつけた皿を出品しました。
常陸宮妃華子さまは歌会始に詠まれた歌「人と人思はぬ出会ひに生涯の良き友となり師ともなりなむ」を、
寛仁親王妃信子さまは千鳥ケ淵(東京都千代田区)で撮影した桜の写真などを出品。
三笠宮家の彬子さまは、秋に江戸切子の制作を体験。
江戸ガラスのコップの底に花火の模様をつけた「てのひらのはなび」という作品などを出していました。
美術展にはほかにも、職員らが手がけた絵画や写真、書道や工芸などが出品され、その多才ぶりに驚かされました。
顔なじみの幹部などの知られざる一面が発見できる機会でもあり、担当記者たちも興味津々の様子でした。
特に、「五節舞」の装束を一部復元したものや、フェラーリのプラモデル、
8月の天皇陛下のお気持ち表明と同時刻に撮影したと思われる皇居内の写真などが話題に上っていました。
少し気は早いですが、来年も皇族方をはじめ、職員の皆さんらの力作を心待ちにしたいと思います。
(宮内庁担当 多田晃子、島康彦)
http://www.asahi.com/articles/ASJD85T47JD8UTIL04R.html

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