雅子さまの「金銭感覚」

週刊文春2013年3月21日号
宮内庁情報公開でわかった雅子さまの「金銭感覚」
「ティファニーに行ってあれやこれや買うような方では困る」。
かつて結婚相手について皇太子はこう述べられた。
だが今回、雅子さまが200万円のジュエリーなどをお持ちであることが判明。
公開情報からも“金銭感覚”が垣間見えた。別の角度から見た皇太子妃の実像。

ノンフィクションライター奥野修司氏が話す。
「とりわけ興味深いのは、一昨年、愛子さまが二泊三日の『校外学習』で山中湖に行かれた際、
雅子妃がつかず離れず付き添われた一件にかかった費用です。
当日は雅子妃を乗せた車を挟むように白バイ二台と
宮内庁職員や山梨県警の警察官を乗せた車七台が長い車列を作って警護に当たった。
ホテル周辺では検問所が置かれるなど、大規模な警備態勢が敷かれたそうです。
このお付き添いは当然、私的な行為ですが、そこにかかるお金はどういう使われ方をしているのか。
宮内庁が開示したデータを元に論考しています」
こうした費用の明細を宮内庁は自ら公開しない。
そこで情報公開請求によって明らかになったデータに基づいて、雅子さまの「金銭感覚」を考察した。

まず、皇室全体で言えば、2012年度の「皇室費」は約62億円。この皇室妃は三つに分割される。
最も多いのは地方行幸啓などに使われるオフィシャルマネーの「宮廷費」で、90%の約55億8千万円。
天皇家と東宮家の私的費用である「内廷費」は約3億2千4百万円。
残りの約2億9千万円は宮家の私的費用「皇族費」である。
ちなみに秋篠宮家の予算は5490万円だが、ここから私的使用人などの人件費を払うと、
実質使えるのは2千万円ほどといわれる。

では、愛子さまの校外学習に、皇室費からどれだけ支払われたのだろうか。
お付き添いは公務ではないが、皇太子妃の外出は「行啓」になる。行啓には必ず下見があり、
この「山梨県行啓」でも、8月25日から二日間と9月4日から二日間の「事前調査」で
のべ七人の東宮職員が動員された。この費用は「日当」(弁当代)と宿泊料をあわせて106950円。
本番前日には、雅子さまを迎えるために東宮職が一人山中湖に向かい、当日は東宮侍医、女官、女儒各1名、
東宮職5名、車馬課技官5名の計13名が、車七台と白バイ二台の車列を組んで山中湖に向かった。
このうち雅子さまとともに高級リゾートホテル「ホテルマウント富士」に宿泊した職員は10名。
残りは日帰りである。ホテルの東側に53室のホテル棟があり、雅子さまのために宮内庁はここを借り切った。
この「借り上げ」費は一人2万円で一日20万円。二日間で40万円。
雅子さまの私的行為の同行だが、いずれもオフィシャルな宮廷費から支払われている。
雅子さまが宿泊されたのは一泊12万円の「インペリアルスイート」だったが、
これは内廷費で払ったという理由で公開されなかった。職員の宿泊費も雅子さまの宿泊費も同じ税金だが、
内廷費は私的費用ということで非公開なのだ。ちなみに何を内廷費にして、
何を宮廷費にするかは宮内庁のさじ加減ひとつである。
この「山梨県行啓」でかかった費用は「事前調査」を含めて58万2430円。
13名もの職員が動いてこの程度なら安いと思われるかもしれないが、ここには内廷費で払った分、
職員の人件費、ガソリン代等々は含まれていない。
また、山梨県警は警護のために数十名の警察官を動員したが、彼らの人件費等も除外されている。
あくまで宮内庁が認めた経費だけである。費用すべてを推計すると、200万円を軽く超えるだろう。
いずれにしろ、国内だからこの程度の出費で済んだが、海外となるとひと桁以上も違ってくる。
(略)

雅子さまのご静養が目的だった06年の「オランダ訪問」の経費を推計してみたい。
これを、情報公開法によって詳らかにした論文が中嶋啓明氏の「外遊経費から見る象徴天皇制の現在」である。
この論文の内容などからその仔細を紹介したい。
オランダ訪問は8月17日から31日までの二週間。皇太子ご一家が乗られたのはJAL通常便で、随行員は11名だった。
ご一家と一緒にファーストクラスに乗ったのは、末綱隆東宮侍従長、野本勲東宮侍従、中村嘉宏東宮侍医(小児科)、
箱嶋明美東宮女官、福迫美樹子出仕の5名。
ビジネスクラスは川上泰男内閣府事務官、平山学東宮内舎人、小山内さち子東宮女儒、中川直美看護師の4名と、
このとき初めて宮内庁が名前を明らかにした雅子さまの担当医・大野裕氏(現国立精神・
神経医療研究センター認知行動療法センター長)と民間人ヘアドッレッサー水尻美雪氏の2名。
ご一家3名分に加え、医師とヘアドレッサーの2名分は内廷費から支払われた。
航空運賃は、ファーストクラスが往復で約165万円、愛子さまは子供割引きで約124万円、
ビジネスクラスは約62万円で、内廷費で払った5人分の運賃は578万円。宮廷費分とあわせて1652万円である。

当時を知る宮内庁担当記者が振り返る。
「なぜご静養でヘアドレッサーが必要なのか、という疑問の声は宮内記者からも上がりました。
しかし東宮職は『費用は内廷費から拠出されているから問題ない』と話していました」
ご一家はオランダ王室の離宮に宿泊されたが、随従員の大半は離宮近くのホテルに宿泊。
このホテル代が13日間で約157万円計上されている。
食事代に関しては、たとえば「山梨県行啓」の場合は1500円で予算を統一していたが、
オランダでは昼食が4500円で夕食は7500円。弁当代などを含めると約104万円である。
これらを合わせると宮廷費からの支出は1800万円。これに内廷費から払った航空運賃をくわえると2378万円である。
しかし、これも山中湖の一件と同じで、極めて表層的な額だ。
たとえばオランダ王室への「献上品荷造」という項目が損ざし、一個7000円で十個分7万円を計上、
さらに「献上品整理伝票」も作成しているのだから、手ぶらで宮殿に泊まったとは考えられない。
しかし、持参したはずの献上品は公開された情報には出てこない。また、ご一家を迎えるために
大勢の大使館員が動いたはずだ。中嶋氏も書いているように、〈直接関係する費用だけで、総額数千万円の
オーダーのカネが使われたのは明らか〉である。
果たして数千万円の海外旅行はご快復に寄与したのか。帰国後、東宮職医師団は〈自信につながる体験で
、今後の治療を進めていく上で有意義だった〉と評価した。
だが、七年後の現在でも、雅子さまの公務への本格復帰は実現していない。
「昨年の雅子さまは、人事異動者などへの『ご会釈』が主で、公務らしい公務はされていません。
去る3月11日の『東日本大震災二周年追悼式』には両陛下がご臨席されましたが、
皇太子ご夫妻はその日はとくにご予定もなく、御所で黙禱されただけでした。
また、両陛下は7月4日から二日間の日程で岩手県を訪問されますが、皇太子ご夫妻にはそういうご予定もない。
治療開始から十年、その間にオランダご静養も含めておそらく億単位の税金が投入されたと思われますが、
成果は見えない。
東宮職医師団が説明責任を問われても仕方がないでしょう」(別の宮内庁担当記者)

皇太子ご夫妻は今年6月、ご成婚二十周年を迎えられるが、この20年の雅子さまのご動静を振り返ると、
オランダご静養前後から大きく変化していることがわかる。
それまで、スキー旅行や友人の招待で食事することが年に一度あるかないかだったが、
06年以降は公務がなくても、お忍びで外出することが突然増えるのである。
たとえば06年にはご一家でディズニーリゾートに行かれ、夥しい数の私服警官や
警備陣で園内はパニック寸前になった。また、クリスマスにはウェスティンホテル東京の
レストラン「ビクターズ」に行かれている。この時分はほぼ月一回のペースで出かけられているが、
07年のくれには、銀座の三ツ星レストラン「ロオジエ」に行かれ、
深夜を過ぎて帰られたことが大きな話題になった。
外食されるのはご自由だが、皇太子一家が行かれるのとわれわれではまったく違う。
「諸君!」(08年7月号)で、鮫島敦氏が、六本木の「ラ・コリナ」の店長から聞いたという
次のような話を披露している。

〈ご来訪の一ヵ月ほど前から、宮内庁関係者が何度も来店し、非常時のための動線や窓からの景色などを
入念に確認し、写真撮影などを繰り返していました。当日は、奥の個室にご案内しました。
宮内庁の方数名が個室近くの席で待機した他、十数名ものSPが、店の内外を厳重に警護していました〉

両陛下がレストランで食事をしないのは、警備や場合によっては店を貸し切りにすることで
大勢の人に迷惑をかけるからだと、かつて渡辺允前侍従長がテレビで語ったが、
皇族にはこうした「配慮」が必要だということだろう。皇室ジャーナリストが説明する。
「06年から堰を切ったように増えた雅子さまの私的外出は、大野医師が主治医になったことと
無縁ではないでしょう。大野氏の著書『こころをほぐす小さな「開き直り」術』のオビには、
〈ちょっと「開き直る」ことができれば、すっとラクになり、明るい気持ちになれます〉
と書いてありますが、雅子さまにも普通の女性として『開き直る」ことを勧めたのかも知れません。
〈ゆっくり休んで、じっくり「自分の楽しみ」をつくろう〉と」

もっとも、「ロオジエ」を最後に外食が目立って少なくなったのは、
さすがに東宮職も、世間の強い批判をおそれたのかもしれない。
雅子さまが食事されたレストランは、いわゆる皇室ゆかりの店ではなく、雑誌に紹介されるような流行の店だった。
まるで皇族というよりも、普通の女性として振る舞おうとしているかのようである。
それは、ブランド品を身につけることにも相通じるものがある。
小誌では過去の写真などから、雅子さまが身に付けられた装飾品などを検証したところ、
フェラガモからシャネル、ジバンシイまで数多くのブランド品をお持ちであることがわかった。
なかにはとても庶民には手がでない高級品もあった。
「05年の愛知万博のときにつけているネックレスはブルガリの『バレンテシ』。
お召のものは、おそらく1980年代のものです」(ブルガリ・マーケティング部)
宝飾業関係者によれば、なんと推定200万円。
「09年8月の那須ご静養のときにお持ちのカバンは、クリスチャン・ディオールの
『マリス』です。もう十年以上作っていないので、
昔買われたものではないか。値段は当時十万円くらい」(ディオール店員)
三年前の那須ご静養の際、那須塩原駅に降り立った雅子さまがお持ちだったのは、
フェンディの新作バゲットバッグだった。服飾評論家の堀江瑠璃子氏が解説する。
「細長くてバゲットパンに似ていることから名付けられました。Fのモノグラムバックルで
ひと目でそれとわかります。雅子さまのものは2010年春夏コレクションの新作。
ベージュの麻地にレース風の刺繍が施されています」価格は11万1300円。

もっとも、最近は地味な恰好のことが多い。
「美智子さまは海外のものはお召しになりませんでしたが。
逆に雅子さまは日本のものはあまりお召しになりませんね。
皇室に海外ブランド品を持ち込んだのは雅子さまですが、
今はジャケットもパンツも新しいものはお召しになっていません。
どこか、ご成婚直後の自信や輝きがなくなって、服もPTAのお母さんのようにお地味。
これも病気のせいでしょうか」(同前)
奥野氏いわく、常に注目される皇太子妃は、“国民のスター”であることを求められるという。
「皇族はタレントではない。タレントは人気があっても尊敬の対象にはならないが、
スターの代わりは誰にも務まらない。だからこし畏敬もされる。国民の象徴的な存在に
なるというのは、下世話ながら、この国のスターになるということではないでしょうか」(奥野氏)

その意味で美智子さまは間違いなくスターである。
ある千代田関係者が話す。
「帽子や洋服を修理や仕立て直しをして、何年もお召しになる。絶対に贅沢はなさらない。
高度経済成長を過ごした我々国民には容易く真似できることではありません。
ゆえに、それが尊敬に転化するのでしょう」
皇后はかつて、象徴たらんとする思いそのもの、
その積み重ねが象徴であるということではないかしら、と仰ったという。
今回、垣間見えた雅子さまの金銭感覚は、国民にどう受け止められるのだろうか。